『何すんだよ』
作品解説

<出演>
玉川純平・・・・・山本泰弘
和泉 豊・・・・・佐藤正和
上原 犬・・・・・金子伸哉
豪徳寺小太郎・・・鎌倉太郎
町田みのる・・・・太田恭輔
チャッピー唐木田・蘭 真人

<ストーリー>
 城南大学の卒業式の日。この日先輩5人を送りだす軽音楽サークルの純平(山本)は憂鬱な表情をうかべ、式に行く気にもなれず部室で1人佇んでいた。式を終えた先輩達がぞろぞろ帰ってくるが、皆思い思いに卒業の感慨にふけり、取り残される純平の苛立ちはわかってもらえない。リーダー・和泉(佐藤)の号令で打ち上げに繰り出すメンバー達。純平は楽しかった日々を思い出していた。
 入学したばかりの純平とメンバー達の出会い。夏の合宿でのドタバタ。皆でデパートの屋上キャラクターショーに出演したり、大学めぐりツアーに出かけたり。音楽サークルのくせに6人誰も楽器ができず全員ボーカルで、バンド名も「ロッキンガイズ」というダサいネーミング。メンバーは目立ちたがり屋の和泉、二重人格の上原(金子)、超カン違い男の小太郎(鎌倉)、苦学生・町田(太田)、4浪3留で29歳の日系12世・チャッピー(蘭)という面々。それぞれのキャラクターが巻き起こす騒動も今となってはいい思い出だった。
 やがて最後の夜があけ、先輩たちは皆あっさりと去ってゆき、純平だけが部室に1人。「勝手に卒業しやがって!」叫ぶ純平の元に一通の手紙が届く。そこには短く一言。「本格的バンド活動に向け、ドラムを練習されたし。和泉。」  
 そして純平はドラムを叩きはじめた。軽快な、しかし力強いリズムで。

<解説>
 おそらく大学・高校の部活やサークル,バンド,劇団などに在籍したことがある人なら似たような経験をしているかもしれません。楽しい仲間との時間はあっという間で、気がつくと別れの時が来ている。そしてその時初めて、それが自分にとってかけがえのない物だったことに気づく。普通だとノスタルジー色の強い感動作を目指すパターンになりがちな話も、ブラボーでは逆に異色な存在の作品になっています。
 バンド物なのに、置かれた楽器はオブジェにしかならず、ただ6人で数が合うからとSMAPを歌い踊る。キャラクターショーのシーンではドタバタアニメパロディの連続で、子供達のヒーローやアイドルが乱闘を繰り広げる始末。この中で機関車トーマスのコントが登場し、'01年の『天晴大賞典』でも久々にリニューアル版が上演され、好評でした。
 今思いだすと、この作品の頃は、佐藤の退職、蘭の静岡転勤、鎌倉も塾公演があり、山本は文学座での修行、太田も外部修行の時期で皆別々にバタバタしていた頃で、青春物ののびのびとした雰囲気と切なさが同居していた気がします。よく芝居には、その時その状況じゃないとできなかった作品というのを聞きますが、この作品も僕らにとって、そういう物かもしれません。
 
 
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