『BRAVO VIKING PARADE』作品解説

<出演>
権藤幸太郎・・佐藤正和
権藤の妻・・・山本泰弘
戸倉警部・・・蘭 真人
ボースン・・・金子伸哉
運転手宮田・・太田恭輔

<ストーリー>
 ある昼下がり。商事会社社長・権藤(佐藤)の邸宅に1本の電話がかかってくる。
 電話の主は、「権藤の娘・もえを誘拐し、身代金3億円を要求する」と通告してきた。妻やす子(山本)の反対をよそに権藤は密かに警察に連絡し、警視庁から戸倉警部(蘭)と部下ボースン(金子)がかけつける。犯人からは再三の電話がかかってくるが、犯人像は浮かばない。しかし、権藤にはただ一つ、犯人の言葉で気になることがあった。
 権藤には、娘の他に、今では家に寄り付かなくなった芸人の息子・洋太郎がいるが、洋太郎はトリオでお笑いコンテスト番組に出場して失敗したり、警察の厄介になったりする毎日。権藤もニュース番組で犯人に呼びかけるものの、一向に手がかりはつかめない。
 一方、山田組系返野会のヤクザたちは、浅野会への借金20億を返済するために競馬八百長を計画、失敗したが、仲間の一人がたまたま子供の運動会で女児を誘拐、身代金で帳尻をあわせようとしていた。
 また、首相官邸でも閣議中の首相のもとに娘が誘拐されたという知らせが届く。
 金と人質をめぐりいくつものストーリーが錯綜し、最後に全てが明らかに・・。

<解説>
 権藤という社長の子供誘拐という冒頭部分は勿論、黒澤 明監督「天国と地獄」のパロディですが、この芝居、ある意味ブラボーの作品の中で最も重層的な構造を持ち、それゆえ色々な評価が出た作品になりました。
 権藤が娘を誘拐され、身代金のため奔走するメインストーリーの他、息子洋太郎はお笑いトリオ「ウエスタンブーツ」、「お笑いケーカン」などの話、ヤクザたちは競馬八百長の話とそれにつながる運動会コントがあり、首相の娘誘拐事件、これに全く時代が違う「ナスカの男」や、権藤の妻が夢中になっている通販番組「ホセのテレホンショッピング」コントが微妙に絡む。
 さらに佐藤・蘭コンビのサラリーマンコント「現代編」「信長・光秀編」「劉備・孔明編」「ヒットラー・ゲッペルス編」、そして全員の「キリストTV」と数回に分けて間に入って、「宇宙人コント」まであって、とても盛りだくさんな構成です。
 基本的に「お金」が全体の軸になり、そのため右往左往する様々な人間模様がたっぷり描かれてるのですが、それぞれ単独で成立するコントも多く、数年後はコント集で取り上げられたり、作品自体が再演候補になったり、劇団にとっても重要なポイントになった芝居だったと言えるでしょう。
 
 
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