『山と月の記し』作品解説 <ストーリー> 都内で13件の猟奇殺人事件が起きる。手口はどれも同じ。顔は爪のようなもので崩され、心臓は引っぱり出されて食いちぎられている。警視庁某所轄のかぶらぎ刑事(太田)も娘を殺され、必死の捜査に乗り出していた。調べの結果、死体には動物の毛が付着していることが判明……その動物とは『虎』だった。 『虎』は日本中の色々な所で現れる。総理大臣が虎になったり、タレントが急に虎に変身してしまったり。人はなぜ『虎』になるのか。 かぶらぎ刑事は部下の中島(佐藤)、新田(山本)とともに執念の捜査を続け、遂に真相を突き止める。それは…!! <解説> タイトルが示す通り、中島敦の小説『山月記』をモチーフにしていますが、ストーリーは当然全く絡まないものです。メインストーリーは、かぶらぎ刑事達の連続殺人事件捜査でありながら、全体の約4分の3は『虎』にまつわるコントで構成されています。この作品から、後にコント大会等で上演される作品が生まれましたが、特に人気を集めたのが「クイズ足利義満」と「かぶらぎ刑事 鬼の取り調べ」の2本でした。 「クイズ足利義満」はその名の通り、室町時代の将軍・足利義満(佐藤・なぜかタキシード)が司会で、解答者の顔ぶれも、一休さん(金子)、吉田兼好(蘭)、能の世阿弥(鎌倉)、奈良の百姓・豆助(山本)と多彩。500問先取の禅問答システムで、メンバーが賞金獲得の為に激しいバトルを繰り広げました。 「取り調べ」は、ドラマや映画でよく使われる容疑者を尋問するシーンに、あり得ない展開,仕掛け(くだらないものばかりです)が盛り込まれ、評価の高い1作です。 またこの作品では、太田恭輔が11年目にして初の主役を堂々と演じ、新たな一面を強く打ち出しました。前作同様、今後の再演を期待する声が多い一作です。 なお、直前の稽古や道具作りなどのハードさは過去最高と言われ、今でも劇団内では公演前の稽古や作業が極限状態になることを「山月(やまつき)状態」と言っています。 |