『オレは待ってるぜ!!』作品解説

<出演>
アオイ・・・・金子伸哉
オチ・・・・・鎌倉太郎
カネダ・・・・山本泰弘
イヌイ・・・・太田恭輔
ミゾグチ・・・佐藤正和
ハヤシ・・・・蘭 真人

<ストーリー>

 昭和45年8月14日。太平洋戦争は2度の原爆で日本の敗戦が濃厚になり、政府内では、天皇が閣僚たちに終戦の決意を宣言していた。
 遠い鹿児島の特攻隊基地では、若いアオイ(金子)たち特攻隊員が出撃を明日に控え、最後の夜を迎えていた。いらだちを隠せないアオイをカネダ(山本)は諌めるが、そこに親友・オチ(鎌倉)がゼロ戦で不時着してくる。再会を喜び、「一緒に死のう」と誓い合う2人。
 その頃、軍部では、終戦の気配を察した将校(蘭)が部下の吉野(佐藤)と共に徹底抗戦を訴えるためクーデターを画策していた。2人は玉音放送の録音を中止させ、軍部内で密かに決起を図ろうと動くが、近衛師団長(太田)に強く反対され、師団長を殺害してしまう。
 戦争に運命を翻弄されたのは軍人だけではない。戦火で猛獣が逃げ出す恐れがあるからと、動物園には象の処分が通達され、映画界にも戦意高揚映画製作が命じられる。パニックに陥る生徒たちと、悩む教師たち。夫を戦争にとられて帰りを待つ女たちと、変わり果てた姿で復員した兵士。近く訪れるであろう進駐軍たちのハメを外したダンス。
 やがて夜があけ、運命の8月15日、クーデターを起こした将校たちは反乱軍として始末され、日本はいよいよ終戦の日を迎える。
 しかし、まだそれを知らない鹿児島の特攻隊員たちは、沖縄沖の米軍空母に最後の体当たりをするため、それぞれの機で飛び立ってゆく。

<解説>
 戦争の話で、ストーリーだけ語るとやはり悲劇という出来事ばかりになりますが、ブラボーの芝居ゆえ、実際の舞台ではメインストーリー以外は各シーン、コント形式で、極限状況の人間模様がクローズアップされました。そこには、しみじみとしたトーンはまるでなく、戦争の愚劣、悲惨はスラップスティックとパロディで描かれました。それだけに、アオイとオチ、対比される将校2人のメインストーリーが美化された話にならず、ラストへ向かう終末感が骨太なものになったと思われます。
 これまで軽妙なコントや冒険物が多かったブラボーの新境地の作品となり、この公演から劇団内に多少なりとも真剣に作ろうという機運が8年目にしてようやく出始めました(遅い!)。
 役者陣では、アオイとオチの、愛以上の関係を感じさせる男2人を演じた金子・鎌倉が特に好評。コントでは太田の玉音放送録音コント、映画撮影コントが人気、犬神家の一族パロディコントは一部で喜ばれました。このコントには煩悩和尚(『天晴城綺談』シリーズで登場)が出ています。
 この作品は2001年に違う劇場でバージョンアップして再演されましたが、猛暑の中で行われた初演もまた違う雰囲気を持った作品として記憶されています。
 
 
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