『一回休み』作品解説

<出演>
小山金太郎記者・・金子伸哉
氏家支局長・・・・鎌倉太郎
権藤記者・・・・・佐藤正和
木原記者・・・・・大内 徹
MC.テンマ・・・山本泰弘
ホセ・ドドリゲス・蘭 真人
謎の現地人・・・・太田恭輔

<ストーリー>
 入社3年目の新聞記者・小山金太郎(金子)は、ある日突然、遠く南のモルジブ島支局に転勤を命じられる。赴任した島には、氏家支局長(鎌倉)をはじめ、島に来て何年も経つベテラン記者3人とラジオ班のテンマ(山本)、ホセ(蘭)がいたが、彼らは平和すぎる島で「事件事故なし」という記事を本社にFAXするばかりの毎日だった。
 戸惑う金太郎だったが、そこに本社から、数日以内にスクープがなければモルジブ支局は撤退し、支局員もリストラするとの宣告が届く。右も左もわからないまま情報をあさる金太郎は、次第に平和な島の暮らしに溶け込んでいった。全てがゆったりとゆるやかな、太陽や月や星、貿易風と同じリズムで流れる島で金太郎は考え始めた。「僕はなぜ走っているんだろう」支局員たちは「幻の恐竜現る」とか「新種のモルジブ猫」などのニセ記事をでっちあげ、一時の危機を脱したが、今度は毎年恒例の島のお祭りで支局は再び忙しくなる。金太郎も他の支局員と共にショータイムに出演したり臨時ショットバーをやったりで祭りを楽しむ。 しかし、支局最大のイベント「24時間ラジオ」のオンエア中、島は台風の直撃を受け、そこに島の顔役・モハメド(佐藤)一家の密輸事件もからみ、支局は大騒乱状態に。
 数日後、南の風が流れる相変わらず平和な支局。金太郎が島に来て三ヶ月が過ぎていた。突然本社から金太郎記者の帰還辞令が来て、金太郎は島を去る。
 東京に戻って、希望通り社会部に配属された金太郎は連日事件事故で忙しい日々を送っていた。そして、時々来る海外支局からのFAXの中にモルジブ支局からの物を見つけ、あの南国の日々を思い出す。そこにはいつもの見出しが書いてある「今日も平和」。金太郎は黙々と記事を書き続ける。

<解説>
 ブラボーカンパニーの記念すべき独立公演1回目の作品。この時初めて大学内の劇場を離れ外の劇場に打って出ました。
 と同時に今までの「天晴◎お気楽事務所」という劇団名に加え、「BRAVO COMPANY」という名称を使い出したのもこの頃です。多摩川まで1分の当時の事務所のひさしには「BRAVO CO,.LTD」とペンキで記されました。
 この芝居はそんな中作られたのですが、南の島という設定に合わせて役者陣は揃って湘南に日焼けしに行きました。そして多摩川をガンガン走り、鍛える日々。
 でも、物語はいたってのん気で、登場するキャラクターもおバカばかりです。特に24時間ラジオのシーンは今でもその内容の下らなさが話題になります。「(真夜中の子供番組)大きくなる子」、「ドカーンクイズ」、「ホセのショッピング」など。この時初登場のホセ(蘭)はちょっと頭のイカレた気のいい外人だったのがその後バイオレンス風になり「新婚さん来やがれ」等のコントにも出てきます。お祭りの場面にはこの他「丹下左膳」「ショットバー」「モハメド一家」などのおバカシーンが盛り込まれていました。
 明るい芝居がほとんどのブラボーの中でも極めてノーテンキな場面が多い作品で、この95年、特に前半は阪神大地震、地下鉄サリン事件など世相が異常に暗い年だったのととても対照的な感じがします。
 ちなみに「一回休み」というタイトルには、モルジブ支局の記者達が島にとばされる際上司に「一回休んで来るか」 と言われてきたというエピソードがあります。
 ともあれ、年末と夏に公演を行う事が非常に多いブラボーの作品の中で一番夏らしさに溢れた作品といえるでしょう。
 
 
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